「1495日の初恋」
― すぐに行く ―
確かにそう聞こえたけれど…。
私は、辺りを見回した。
こちらに向かう人影はない。
でも、確かに上原くんの声だった。
今年のお正月、1月3日以来、7か月ぶりの上原くんの声。
どんなに時間が経っていても、忘れない声。
だけど…本当に上原くんだったのか…。
電話が切れてしまった今では、なんだか夢のように感じてしまう。
そんな私の想いをかき消すように、駅の方から走ってくる人影が見えた。
だんだんと近づいてくるその影。
力強い足音に、胸がギュッとなる。
夢なんかじゃない…上原くんだ…。
気持ちが溢れて、身体から全部こぼれてしまいそう。
息遣いが聞こえる。
近付いてくる…