「1495日の初恋」
授業のチャイムが鳴った。
私の隣には、上原くんが座る。
「教科書、見せて。」
「うん。」
いつも通り、机をくっつけて教科書を真ん中に置いた。
いつもと変わらない上原くん。
頬杖をついて、鉛筆をクルクルまわしている。
私は、そんな上原くんの様子をなんとなく眺めていた。
上原くんも、やきもち妬くの?
上原くんも、綾香に他の男子としゃべらないで、なんて言うの?
どうしても気になって、私はペンを握って教科書の端に書いた。
『やきもちやくの?』
トントンと教科書を叩いて、上原くんに見せた。
上原くんの返事は一言、『バカ』だった。
バカとはなによ…。
せっかく頑張って聞いたのに。
小さく息を吐いて、自分の書いた言葉をぐるぐる線で消した。
上原くんが、何か書いて私に見せた。
お餅の絵?
お餅が焼けて膨らんだ部分、そこが、ぷーっと顔を膨らませている私の顔だった。
…もう、何これ!
上原くんは、ニヤニヤして私を指差す。
ほら、これと同じだろって言いたいんだよね?
もう、教科書貸してやんないから。