「1495日の初恋」
私は、首を横に振る。
身体に力が入らなかった。
「…そうですか」
宇佐見くんは、私の隣に座った。
「じゃあ、もう少し。」
涙が止まらなかった。
ふっと温かさに包まれて、抑えていた気持ちが溢れ出す。
私はずっと泣いていた。
宇佐見くんは、私が落ち着くまで、黙ってずっと隣にいてくれた。
どのくらい時間が経ったのだろう。
ようやく、状況が把握できてきた私は、急に申し訳なくなって、宇佐見くんに謝った。
「…ごめんなさい。」
「えっ?今さらですか?」
宇佐見くんは、笑って答える。
「…だって…。」
「はいはい、分かってますよ。」
腕を組み、わざとちょっと偉そうに答える。
そんな宇佐見くんの様子に、心がふっと緩んでいった。
「…ありがとう…。」
「いいよ。それより、時間、大丈夫ですか?」
あっと思って時間を見れば、夜9時を過ぎていた。