「1495日の初恋」
宇佐見くんは、歩くスピードをどんどんあげていく。
追いかける私につかまらないように。
私は、宇佐見くんを必死で追いかけた。
「もー、なんでこんなに走らなきゃいけないのよー!」
両手をひざに置いて、ハアハアと息を切らせながら、宇佐見くんを見上げた。
宇佐見くんの胸が、大きく膨らんだり縮んだりしていた。
「…でも、スッキリしたでしょ?」
こめかみからツッと汗が滑ってきた。
宇佐見くんの目が、キュッと細くなる。
「…あ…うん…。」
確かに走ったら、心が少し軽くなったみたい。
「ですよね?」
宇佐見くんは、手のひらで汗を拭いながら頷いた。
「さ、いきましょう。」
そのままコンビニに入り、花火を買った。
公園に戻って、花火に火をつける。
シュッと音を立てて、火花が噴き出した。