「1495日の初恋」
「…今日みたいにさ、どうにもならない時は、いつでも呼んでいいですし。あ、だからって、勘違いしないでくださいね、友達としてですから。」
おどけて言いながら、宇佐見くんは優しく笑う。
「辛くなったら、いつでも連絡していいですから、な、そうしなさい!」
花火を終えた後、お母さんとの約束通り、宇佐見くんは私を家まで送ってくれた。
私は、すぐに自分の部屋に行き、ベッドに寝転んだ。
携帯を開いて、自分の打ったメールを見返す。
「たすけて」
「公園」
たったこれだけ。
それなのに、見つけてくれた…。
上原くんのことも、分かっていた。
宇佐見くんって、なんでもわかるんだな…。
宇佐見くんの言ったことが思い出される。
私は、自分のことだけしか考えていなかった。
自分だけが辛いと思っていた。
でも…
上原くんだって辛いはず。
上原くんだって苦しいはず。
そう思えたら、これからも上原くんのことを想っていられる気がした。
宇佐見くんがそれを気づかせてくれた。
ありがとう、宇佐見くん…。
私は、パタンと携帯を閉じる。
窓から見える満月。
私の心を、明るく照らしているように思えた。
好きでいよう。
この先もずっと、上原くんだけを。
静かに輝く月を眺めながら、強く思った。