「1495日の初恋」




「…今日みたいにさ、どうにもならない時は、いつでも呼んでいいですし。あ、だからって、勘違いしないでくださいね、友達としてですから。」


おどけて言いながら、宇佐見くんは優しく笑う。


「辛くなったら、いつでも連絡していいですから、な、そうしなさい!」







花火を終えた後、お母さんとの約束通り、宇佐見くんは私を家まで送ってくれた。



私は、すぐに自分の部屋に行き、ベッドに寝転んだ。


携帯を開いて、自分の打ったメールを見返す。



「たすけて」

「公園」


たったこれだけ。

それなのに、見つけてくれた…。


上原くんのことも、分かっていた。

宇佐見くんって、なんでもわかるんだな…。




宇佐見くんの言ったことが思い出される。


私は、自分のことだけしか考えていなかった。


自分だけが辛いと思っていた。





でも…


上原くんだって辛いはず。


上原くんだって苦しいはず。



そう思えたら、これからも上原くんのことを想っていられる気がした。



宇佐見くんがそれを気づかせてくれた。


ありがとう、宇佐見くん…。



私は、パタンと携帯を閉じる。





窓から見える満月。


私の心を、明るく照らしているように思えた。


好きでいよう。

この先もずっと、上原くんだけを。


静かに輝く月を眺めながら、強く思った。





















< 196 / 388 >

この作品をシェア

pagetop