「1495日の初恋」
寄り添う心
その後も、何の変りもなく、時間が過ぎていた。
上原くんを想いながら過ごす日々。
宇佐見くんとも、いたって普通。
2学期になり、進路の話題も出はじめてきた秋の日。
音楽室の鍵が開いたままだから、閉めてきてほしいと先生に頼まれた。
放課後、5階の音楽室へ向かった。
階段を昇っていくと、かすかにピアノの音がする。
歌声…?
優しい声と、温かなピアノの音色。
ああ、宇佐見くんだ。
細く開いたドアの隙間から、宇佐見くんの様子が見える。
音楽室のドアの外で、宇佐見くんが弾き終るまで、歌い終わるまで待っていた。