「1495日の初恋」

下校時間、矢島くんが一緒に帰ろうって言ってきた。

いつもは部活があるけれど、今日は先生の都合でお休みになったらしい。


男子と一緒に帰るなんて初めてだし、なんだかとても緊張する。

矢島くんと付き合っているっていっても、それらしいことなんか一つもしてこなかったし…。


二人で並んで歩くのを想像すると、途端に恥ずかしくなる。


…どうしよう…。

返事に戸惑っていると、矢島くんはさっさと帰りの準備を済ませ、私の元に戻ってきた。


「さ、行くよ。」

そう笑顔で言って、私のカバンを抱えて歩き出す。


「あ、待って。」

私は矢島くんを小走りで追いかけて、その横に並んだ。

学校が見えなくなるまで、なんとなく距離をおいて歩く。


「ねえ、上原さん。」


矢島くんは私の方を向きながら、歩を緩める。

「なに?」


「最近さ、海斗と仲いいよね?」


「え?そんなことないけど…。」

突然、上原くんの名前が出てきて、胸がドキンとした。



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