「1495日の初恋」
「今日の英語のとき、ずっと二人でなんかやってたじゃん。」
矢島くん、あれ、見てたんだ。
「あ、あれは上原くんが、変なこと書くから、だから!」
咄嗟に大声になる。
私、何でムキになってるんだろう…。
これじゃ、浮気の言い訳してるみたいだ。
「大声だすなよ、分かったから。あのさ、もう海斗と話さないでよ。」
「え?そんなこと無理だよ。席、隣だし。」
「彼氏の俺が、嫌だって言ってるのに?」
「…。」
私が答えられずに黙っていると、矢島くんは吐き捨てるように言った。
「いいよ、もう。」
それからは、何も話さずしばらく歩いた。
公園の入り口まで差し掛かる。
…えっ?
突然、矢島くんが私の手を掴んで、公園の中に入っていく。
「ちょっ、ちょっと、矢島くん。」
「キャッ!」
ぐいぐい手を引かれて、私はバランスを崩してしまった。
身体を預けるように、彼の胸の中へ。
そのとき、林道の前方から、自転車が近づいてくるのが見えた。
だんだんと、はっきり見えてくる自転車。
…乗っていたのは、上原くんだった。
上原くんは、私たちをチラッと見ると、何も言わずに通り過ぎていった。
上原くんが通り過ぎた瞬間、私の体にはトゲがいっぱい刺さったみたいだった。