「1495日の初恋」
次に亜紀が立ち上がる。
「そう言うことですので、よろしくお願い致します。」
参加者の笑いを誘うスピーチ。
亜紀は、こういう場を和ませるのがほんとに上手。
よろしくお願いしますと言って座った。
私の肩を叩いて、ウインクする。
深呼吸して立ち上がる。
「上原です。よろしくお願いします。」
お辞儀をして、顔を上げると、上原くんと目が合った。
もうそれで、何も話せなくなってしまった。
亜紀に、ジャージの裾を引っ張られ、崩れるように座り込む。
上原くんは何と思っただろう。
怖くて、もう顔を上げられなかった。
体育座りをした足を抱きしめて、膝に顔をつけてじっとしていた。