「1495日の初恋」




次に亜紀が立ち上がる。



「そう言うことですので、よろしくお願い致します。」



参加者の笑いを誘うスピーチ。

亜紀は、こういう場を和ませるのがほんとに上手。



よろしくお願いしますと言って座った。

私の肩を叩いて、ウインクする。




深呼吸して立ち上がる。



「上原です。よろしくお願いします。」



お辞儀をして、顔を上げると、上原くんと目が合った。



もうそれで、何も話せなくなってしまった。

亜紀に、ジャージの裾を引っ張られ、崩れるように座り込む。



上原くんは何と思っただろう。

怖くて、もう顔を上げられなかった。



体育座りをした足を抱きしめて、膝に顔をつけてじっとしていた。








< 211 / 388 >

この作品をシェア

pagetop