「1495日の初恋」
「上原さん、あいつ、上原さんをずっと目で追っていますよ。」
宇佐見くんが囁いた。
「ほら、また。」
えっと思って顔を上げると、上原くんがこちらを見ていた。
「ちょっと、あいつ見ててください。」
そう言って、宇佐見くんが私の肩に手をのせた。
「ほらね、やっぱり。」
「やっぱりって?」
「あいつ、イライラした顔してます。」
「イライラ?」
「うん、見ててくださいね。」
そう言って、今度は私の肩を引き寄せた。
上原くんは、一瞬目を見開き、唇を噛んで目を伏せた。
「ほら、やっぱり。」
「やっぱり?」
「上原さん、大丈夫です、あいつ…。」
そう言って、肩に乗せた手を下ろした。
私は、宇佐見くんの言っている意味がよくわからなかった。
だけど、宇佐見くんが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろうと、妙に納得した気持ちになっていた。