「1495日の初恋」
体育館の入り口から、水筒を抱えた女の子が歩いてくる。
左手に、肘までの手袋のようなギブスをつけている彼女。
あっ…
そう思った瞬間、彼女は上原くんに駆け寄って水筒を渡す。
上原くんは、水筒を受け取り、彼女に何か話しかけている。
由里子さんだ…
私は上原くんと由里子さんを眺めていた。
由里子さんは時折、笑いながら上原くんの身体に触れる。
仲が良さそうな二人を見ていると、胸の中にもやもやとした感情が生まれてきているのが分かった。