「1495日の初恋」
休憩時間。
宇佐見くんが、水筒とタオルを持ってこっちにやってきた。
「調子はどうです?」
「能ある鷹は爪隠す、みたいな感じ?」
「なんですかそれ。」
「カズ、知らないのー?」
宇佐見くんと亜紀が話しているそばで、私は上原くんを目で追っていた。
由里子さんが、上原くんの身体に触れる。
何度も何度も。
何の話をしてるんだろう。
上原くん…楽しそう…
あっ…
由里子さんが、上原くんの髪に触れた…
汗を拭いたタオルと飲んだ水筒を、由里子さんが受け取る。
そんな二人を見ているのが、だんだん苦しくなっていった。
「なんで…。」という言葉だけが、頭の中をぐるぐるとまわり続ける。