「1495日の初恋」




不意に、上原くんがこちらを向いた。


宇佐見くんの隣で、体育館の壁に寄りかかる私と目が合った。


あっと思った瞬間、すぐに視線は外され、上原くんは私に背を向けた。




悲しくて苦しくて、今にも涙がこぼれそうになる。

亜紀が、そんな私の様子に気づいて、背中をさすってくれる。



見たくないのに見てしまう。

見なきゃいいのに、どうしても気になってしまう。



上原くんの背中を見て思った。

もう、私の方に上原くんが向いていないということ。

どんなに想っていても、届くことのない相手なんだっていうこと。




上原くんは、心も身体も全部…由里子さんのところに行ってしまったんだ。













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