「1495日の初恋」
ピー―――――!
休憩時間終了の笛。
亜紀が私の背中をポンと叩いた。
私は、うんと頷く。
大丈夫、ちゃんと練習するからね。
バドミントンに集中しているときは、上原くんのことを考えないですんだ。
とにかく必死でラケットを振った。
無心でシャトルを打ちつづけた。
今日の練習が終わって、宿舎に向かう。
全寮制の学校なので、もちろん上原くんたちも一緒に泊まる。
ああ、そっか…
由里子さんは、ここでいつも上原くんと一緒にいる。
一緒に生活している。
私の知らない上原くんを、たくさん知っている。
寝起きの上原くん。
ごはんを食べる上原くん。
歯磨きする上原くん。
……。
私は、何も知らない。
私は上原くんのこと、何もわからない。
ああ、いやだ。
またあのもやもやした気持ち。
悔しいような寂しいような、心がじりじりと焼けていくような気持ち。