「1495日の初恋」
夏の恋は加速する
見ているだけで
8月。
夏休み。
部活を引退した私たちは、必然的に塾の夏期講習へ。
大きな塾は一つしかないため、だいたいここにみんなが通う。
もちろん、私を含めた6人はもれなく一緒。
一緒といってもクラスは別。
教科数と成績で、細かくクラス分けされていたため、みんなバラバラ。
藤崎くんと美紀は、塾でもトップの5教科Aクラス。
残りの4人はBクラス。
Bクラスでも、矢島くんと綾香は5教科クラス。
上原くんと私は3教科クラスだった。
3教科クラスは5教科クラスより早く終わる。
だから、上原くんと私はいつも先に帰っていた。
といっても、並んで帰るわけでもないし、もちろん、話をするわけでもない。
クラスが同じでも、たくさんの人がいる。
広い部屋でなんとなく同じ空間にいる、繋がりはそれだけだった。
塾が終わり、上原くんが、友達とじゃれ合いながら歩いている。
私は、少し離れた後ろから歩く。
いつもこうして、楽しそうにしている上原くんを見ているだけで、嬉しかった。