「1495日の初恋」
今日は、借りていた本を返す日。
塾の帰りは、図書館に向かった。
借りた本を返して、次に借りる本を探す。
本の背表紙に視線を向けながら、ゆっくり横歩き。
すると、少し先の棚でバタバタバタと本が落ちる音がした。
小さな子が、本を棚から落としてしまったみたい。
直すのを手伝おうと歩み寄ると、私より先に、そこにたどり着いた人がいた。
「大丈夫?ケガはない?」
子供は、本が落ちてきてびっくりしている様子。
「大丈夫だから、泣くな。」
そう言って、膝をついて優しく話しかけている。
子供を気遣いながら、一つずつ丁寧に書棚に戻しているその人は、さっきまで同じ教室にいた、上原くんだった。
ドッ…キン…
ドンドンドンドン…
途端に加速する私の心臓。
キュッと胸が痛くなる。
一つ小さく息を吐き、もう一度上原くんを見た。
…上原くん、やっぱりあなたは素敵だよ…