「1495日の初恋」
目を凝らせば、その人影は見覚えのある姿。
「…宇佐見くん?」
私の声に、ビクリと身体を震わせ、ゆっくりとこちらに振り返る。
「ああ、上原さん、どうしたの?」
「宇佐見くんこそ…こんなところで、どうしたの?」
「ちょっと、早起きしてしまったので…ね。」
おどけた声。
私は、階下に降りていこうと足を一歩踏み出す。
「ああ、来ないで!」
宇佐見くんは、片手で私が来ることを制しながら、残ったもう片方の手で顔をごしごしと拭っていた。
「そのまま、そこにいてください。」