「1495日の初恋」
…友達…。
「でも…私は、宇佐見くんに…何にもお返しできていないよ…いつも助けてもらってばかりで…。」
「お返し?そんなのいりませんよ。」
「だけど…。」
私は、言葉に詰まってしまう。
宇佐見くんの声が、夜の海を泳いで、私の元へ響いてくる。
「いいんだ。…でも…。」
その言葉は、ピュッと飛び跳ねる銀の魚のように、私の心を驚かす。
「もし…俺が…上原さんのこと、好きだって言ったら…どうする?」
「えっ?」
「お返しに、あんなやつ諦めて、俺のところに来いって言ったら…どうする?」
「どうするって…そんなこと…考えられない…。」
「じゃ、今考えてよ。お返ししてくれるんでしょ?俺なら…上原さんをこんなに苦しめるようなことは、絶対にしない。いつもそばにいてあげられる。」