「1495日の初恋」

私は、上原くんのそばに屈んで、落ちた本を手に取った。


「あ、すいません。ありが…

上原くんは、お礼を言おうと顔を上げる。
相手が私だと気づいて、驚いた表情をしたが、すぐに下を向き、本を棚に戻し始めた。


私も屈んで本を拾う。

無言で一緒に、本を片付けた。


上原くんの手には、何冊かの漫画と画集。

相変わらず、漫画好きなんだね…





公園ですれ違ったあの日から、なんとなく気まずい。

あれから、上原くんが教科書を忘れても、私に貸してとは言わなかった。

矢島くんが、上原くんと話さないでというもんだから、話もしにくくて…。

結局気まずいまま、1学期は終わってしまっていた。





こんな風に近くに寄るのは久しぶりで、なんだが胸がザワザワする。


何か話したくても、声がでない。

苦しいよ…

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