「1495日の初恋」
ザーッザーッと規則正しく砂利を踏んでいた音がピタリと止まる。
「由里子だ…。」
上原くんが、握っていた手を離す。
正面の鳥居に寄りかかるようにしていた人影が、こっちに向かって走ってくる。
「由里子さん?」
上原くんは、戸惑いの表情で正面を見据えながら、小さく頷いた。
「海斗くん、探したよ~!」
ザクザクと砂利を踏みしめて、私たちの前までくると、彼女は小さくお辞儀をした。
「川名由里子です。あの…どちら様でしょうか?」
由里子さんは、私に向かってそう言った。
「あ…私は、上原結です。」
「上原?…海斗くんのご兄弟ですか?」
「えっ…違っ…。」
「そうなんだ。兄弟って言うか従妹。正月だから、家に遊びに来てた。」
上原くんが、私の方を向いてそう言った。