「1495日の初恋」
由里子さんは、携帯電話を取り出して、私の目の前で電話をかける。
「あ…お母さんですか?はい、海斗くんに会えました。今から帰ります。はい、よろしくお願いします。」
電話を切ると、私に向かって言った。
「じゃ、そう言うことですので失礼します。」
「ちょっ、待てよ、俺はまだ…。」
「まだ、何か従妹さんと話があるの?だったらここで済ませてくれる?」
上原くんは、ぎゅっと目を瞑った。
そして、大きく深呼吸して目を開ける。
「…いや…もう、話は終わったよ…。」
上原くんは私とは目を合わさずに、由里子さんに行こうと言った。
由里子さんは、上原くんの腕に自分の腕を絡ませる。
チクリと胸が痛んだ。
だけど、由里子さんの腕のギブスを見ると、もう、どうすることもできなかった。