「1495日の初恋」
上原くんは、振り返りもせずに行ってしまった。
残された私は、呆然と立ち尽くす。
何も考えられない。
動くことさえできない。
やっと手を掴んだと思ったのに、するりと抜けていってしまう。
いつもそうだね…。
上原くんの手は…掴んだと思っても、すぐに離れてしまう。
一緒にいることを望んではいけないと、思い知らさせる。
もう、涙も…出ない…。
身体から力が抜けて、へなへなと崩れ落ち、冷たい砂利の上に座り込んだ。
「上原さん。」
私を呼ぶ声が聞こえた気がして、ゆっくり振り返る。
ザザッ…
砂利を蹴るように歩いてくるのは、宇佐見くんだった。