「1495日の初恋」




「もう…いいんじゃないか?」


私の視界の中に、そっと差し出された手。


「宇佐見くん…?」



「ほら、立てる?」




宇佐見くんは、何でもお見通しだ。

その目にウソはつけない。


私は、差し出された手を掴んで立ち上がる。



「大丈夫?」



「うん…。」



宇佐見くんは、正面から私を真っ直ぐ見据え、ふっと優しく微笑んだ。



「もう…充分に、頑張ったと思いますよ…。」


そうして、握っていた私の手を開いて、その真ん中に大きくマルを書く。



「上原さんは、花マルです。」


花マル…?


宇佐見くんは、私の手のひらにいくつもいくつも花マルを書いた。



頑張った…。

宇佐見くんの優しい言葉に、止まっていた涙が溢れだす。











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