「1495日の初恋」
上原くんは突然立ち止まる。
そして、自分のカバンの中を覗き込んでいる。
あっと思った瞬間、上原くんはくるりとこちらを向いた。
バンッと目が合って、息をのむ。
後ろからついてきた怪しい私とご対面。
ヘビに睨まれたカエルのように、一歩も動けない。
上原くんは険しい表情のまま、つかつかと私の前に歩み寄る。
ああ、絶対なんか言われる…
私は、身体を固くして、下を向いた。
上原くんの手が、私の持っている本に触れる。
「これ…。」
「あ、うん、図書館の棚に入っていて…もしかしたら…上原くんが忘れたんじゃないかと…思って…それで…。」
最後の方はしどろもどろ。
緊張で震えてくる。
「ごめんね、つけてきたわけじゃ…
私は、恐る恐る顔を上げた。