「1495日の初恋」
宇佐見くんは、顔を片手で隠して、後ろを向いた。
「くそっ、言うつもりなんかなかったのに!」
小刻みに震える背中に向かって、私は言った。
「…ありがとう…。」
宇佐見くんは、目を真っ赤にして振り返る。
「上原さん…もう少しだけ…好きでいさせてくださいね…。」
私は、返事に戸惑った。
「亜紀は…?」
「…亜紀は、俺が上原さんのことを好きだっていうこと、知っていますよ。」
私は驚いた。
そんなこと、一言も言われたことはなかった。
「俺と同じだよ…好きな人のことは…何でも分かるんです。」
宇佐見くんは、皮肉気な笑みを浮かべる。
「だって、ずっと見てるから。俺が上原さんを見ていたように、亜紀は俺を見てくれていた。」