「1495日の初恋」
「それなら…なんで…。」
「俺が上原さんを好きでも、それでもいいって…そう言ってね…もう断れなかった…。亜紀の気持ちは痛いほどわかるから…だって、俺がそうだから。」
宇佐見くんは、だってそうだろ?と言うように、目を細める。
「俺も、上原さんが…あいつを好きだったとしても…それでもいいと思うからです。」
私の肩にそっと手を置いて、ポンと叩いた。
「たとえ気持ちがここになくとも…こうして触れることができる…そばにいることができる…それだけでいいんです。亜紀も…同じ。」
「…ごめんなさい…。」
「いいんです、上原さんはそのままで。」
そうしていつもの優しい笑顔を向けてくれる。
「亜紀には、もう一度きちんと話します。上原さんは気にしなくていいですから。」
肩に乗せていた手で、私の髪をくしゃっとかき混ぜた。
「ほんと、上原さんっって…。」
宇佐見くんはそこまで言って、なんでもないよ…とつぶやいた。