「1495日の初恋」
「海斗くん!酷いよ!」
由里子さんの声が聞こえてくる。
私は、宇佐見くんと並んで、静かに聞き耳を立てていた。
「私だって、バドミントンやりたいんだよ…このケガで、全国大会を棒に振って…それどころか…もう、選手にもなれない…。」
「…ごめん…本当に悪かったと思ってる。」
「私から大好きなバドミントンを取り上げておいて、今度は自分までいなくなるつもり?」
「ごめん…。」
「そんなの許さない。自分ばっかり幸せになるなんて、ずるいよ!」
上原くんは、ずっと頭を下げ続けている。
「私のそばから離れないでよ!約束したじゃない。ずっと一緒にいてくれるって!」
由里子さんの声が、一段と大きくなった。
「なんとか言ってよ!私、海斗くんがいなくなるなんて、絶対に嫌だからね!絶対離れない…離れるって言うなら、私の手を直してよ!昔みたいに、バドミントンをできるようにしてよ!」