「1495日の初恋」
あ…
胸が、キュンと音を立てる。
上原くんの顔、優しい優しい笑顔だった。
「結、ありがとう。よく分かったな。これ、俺が借りたやつ。」
上原くんが笑ってくれた。
それに、ありがとうって。
「帰るんだろ?」
「あ、うん。」
そこから、私たちは並んで歩いた。
上原くんの隣にいるだけで、バカみたいにドキドキする。
街路樹を抜けると、お互いの家は反対方向。
「じゃ、またな。」
「あ、うん、またね。」
上原くんは右へ、私は左へと歩き始めた。
はああ…ドキドキした…。
胸を押さえながら、ゆっくり歩を進める。
心臓は、まだ弾んでいる。
体中が上原くんでいっぱいだった。
私は、もう一度上原くんを見ようと振り返る。
…えっ?
立ち止まり、こちらを見ていた上原くんと目があった。
上原くんはすぐに向きを変え、何も言わずに走っていってしまった。
ああ、びっくりした。
上原くんも振り返っていたなんて。
何か言い忘れたのかな?
なんで、こっちを向いていたんだろう。
何度考えても、私にはその意味を見つけ出すことはできなかった。