「1495日の初恋」
大好きな人
しばらく歩いていくと、池のほとりのベンチに人影が見える。
背を向けて座ってるけれど、あれは上原くんだ。
もう時間なのかと、時計を見れば、まだ8時30分。
上原くんも早く来ていた。
心臓が高鳴る。
上原くんは、ヘッドホンをしている。
近くまで来たのはいいけれど、なんて声をかけよう…。
ヘッドホンをしているし…。
後ろ姿を見ているだけで、ドキドキが止まらない。
私は、上原くんの首に腕を巻きつけ、後ろからそっと抱きしめた。
上原くんは、ビクリと小さく跳ねる。
でも、すぐに私だと気が付いて、ヘッドホンをはずした。
「…結?」
「…うん。」
上原くんは私が回した腕に、そっと手を重ねる。
私は、もっと強く抱きしめた。