「1495日の初恋」
上原くんに褒められたことが嬉しくて、胸がいっぱいになる。
思わず、これのおかげだよと万年筆を取り出して見せた。
「えっ、これ…あの時の…だよな…なんで結が持ってるの?」
そう言って、上原くんもポケットから万年筆を取り出した。
上原くんの万年筆は、使い込まれているのがよくわかる。
「もしかして…これ、本当は結が選んで、俺にくれたの…?」
…あ、しまったと思ったがもう遅かった。
「う、うん…ごめん、だましてて…。」
私は下を向いた。
「結…、結ってば…。」
名前を呼ばれて顔を上げた。
「ありがとう…これ…ほんとに嬉しくて…結だったんだね…すごく嬉しいよ…ありがとう…。」
自分が辛いとき、この万年筆でノートに漫画を書いていたんだという。