「1495日の初恋」
宇佐見くんは、空を見上げる。
「あのラジオ…上原さんだけに聞いてもらいたかったんだけどね…たくさんの人が聞いていてくれてたみたいでね…放送が終わった後にラジオ局から連絡が入ったんです。反響がすごいって。局に来てもう一度歌ってほしいって言われましてね。」
私は、思いもよらない宇佐見くんの言葉にびっくりして、もう一度聞きなおす。
「ラジオ局から?連絡があったの?」
「そう…ラジオ局からです。それで…行ってきたんです…歌いにね。そこにですね…音楽会社の社長さんもいたんですが…俺の歌を聞いて…うちで歌わないかと…つまり、歌手にならないかと…言われたんですよ。」
「か…歌手って?えっ??」
宇佐見くんは、驚く私の様子がおかしいらしく、口元に手をあて、肩をゆする。