「1495日の初恋」




「そんなに驚かないでくださいよ。実は俺、自分の歌で誰かを元気づけたいっていう夢があったんです。でもね…そんなの実現するわけないじゃないですか…だから…普通に大学に行って就職すればいいと思っていたんです…でも…。」


「でも…?」


「上原さんのおかげで、自分の夢を叶えるチャンスが巡ってきたんです。俺…上原さんを好きでいてよかったって、あなたのそばにいられてよかったって、今もそう思っています。」



「私のおかげ…?」



「そうです。だって、上原さんがいなかったら、ラジオに投稿なんてしませんよ…だから…上原さんに、どうしてもありがとうが言いたくて…。」



そう言って、宇佐見くんは優しく微笑む。



「…ありがとうは…私の方なのに…まだ何も…お返しできていないのに…。」


「お返しなんて…いいんですよ。上原さんがそこにいてくれることが、俺にとって、最高のプレゼントなんですから。」



宇佐見くんは、穏やかで優しい、温かな声で私に伝えてくれる。





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