「1495日の初恋」
少しの沈黙。
小さく息を吐いてから、また、ゆっくりと話しはじめる。
「それで…この後、手続きの関係で、すぐに事務所に行かなければいけないんです。だから、卒業式も出られません。…上原さん、あなたに会うのも、今日が最後です。」
「えっ…最後…。」
私は驚いて、言葉が続かない。
宇佐見くんは、そんな私を見つめて、優しく笑う。
「…だから…最後にお願いがあります…。」
「なに…?」
私は、泣きそうになりながら、震える声で聞き返す。
「最後に、あなたを抱きしめていいですか?」