「1495日の初恋」





私は、上原くんからもらった、落書きだらけの教科書を、ペラペラとめくりながら考える。

…手紙かあ…。


やっぱりそんなの見当たんない…。



だけど上原くんは、教科書にあるって言ってたよね…。






………




「日記もこれで書いたし、結に宛てた手紙も書いたことあるよ。」


「手紙?」


「そう…会いたくてどうしようもないときは、そうして心を鎮めてた。」


「…その手紙、くれないの?」



「あげるわけないでしょ。…ていうか、もうとっくにあげていたりもする。」


「えっ?何それ?私、何にももらっていないよ。」


上原くんは、ちょっと考えてから、思い出すように話しはじめた。


「…俺が、中学の卒業式前にあげたもの、覚えてる?」



「うん、あの落書きいっぱいの教科書…だよね?」


「そうだよ。」


「えっ?だから何?」


「なんでもねーよ、相変わらずうるさいなー、結は。」


「ちょっと何?何?教えてよ~!」



「もういいんだよ、あれは。」




…………




んもうっ!


上原くんはよくっても、私は全然よくないよ。

気になって眠れない…。
















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