「1495日の初恋」




…そっか…。

そういうことか…。



手の中にある教科書には、あの頃の上原くんの想いが溢れていた。



私はまた、最初のページに戻してみる。



…ゆ…い…

ペラペラとページをめくれば、上原くんが何度も私を呼んだ。


「何度も名前を呼びたくなる。」

そう言った上原くんの声も表情も、鮮明に思い出すことができる。




ずっと、私を想ってくれていたんだ。

ずっと、変わらずにいてくれていたんだ。



鼻の奥がツンとする。

ジワリと涙が滲んで、教科書の文字がぐにゃりと霞んだ。



大きく書かれた題字に目を向けると、バカみたいに涙がこぼれた。


「奥の細道」


そう書かれているはずの文字は、絶妙に修正されていて、「細」が「結」になっていた。


…「奥の結道」ってなによ、それ…

そんなの、分かるわけないじゃない…


私は、泣きながら微笑んだ。























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