「1495日の初恋」




俺は手を伸ばす。

どうしても届かない。


一歩前へ。

それでも届かなくて、俺は走り出す。


微笑んだ君は、桜の花のように薄桃色をしていた。

きっと、その唇は、俺が触れたら破れてしまう。

それでも手を伸ばさずにいられない。


待って。

今行くから。


強い風が吹き抜ける。

渦を巻く、桜吹雪の中に消えていく君。

嫌だ、行かないでよ。




俺を置いて…行かないで、ください…。






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