「1495日の初恋」
「カズのことが、ずっと好きだった。」
亜紀の思わぬ告白に、心が揺れた。
唇に残る柔らかな感触。
今まで友達だったのに…違うのか…?
親指で唇に触れながら、頭を整理する。
それでも、亜紀とキスとか…わけがわからない。
一層苦しくなる胸の内。
俺は、一体何をしているんだ?
亜紀は俺から手を離し、両手で顔を覆った。
「…ごめん、言うつもりなかった。」
亜紀のかすれた声は、俺の心を掻き毟る。
「なんで…?」
「…ごめん、カズの辛そうなとこ、見てらんなくて…だからと言って、私じゃダメなことも分かってる…。」
亜紀は両手で顔を隠したまま、声を殺して泣いていた。
そこにいたのは、いつもの元気な亜紀じゃなかった。
まるで、親とはぐれた子猫のように、ふるふると震えていた。