「1495日の初恋」
きっと来るから
亜紀は、俺の声に振り向き、もう一度こちらに歩いてくる。
枕元に立つと、ゆっくり屈んで、俺の目をじっと見つめてこう言った。
「来るよ。きっと来る。来なかったら、私が呼んできてあげるから、ここで待ってて。」
俺は、寂しげな笑みを残して立ち上がる亜紀の手を、思わず掴んで引き寄せた。
「ちょっと待てよ。」
亜紀はよろけて、覆いかぶさるように倒れこみ、俺の顔の両側に手をついた。
「危ないじゃない。また、キスしちゃうところだった。」
照れたように笑う亜紀は、俺なんかにはもったいないくらいの子だ。
「ごめん…亜紀。悪い。俺のことなんか、やめろよ。もう俺には、なんにもしないでいいから。」
「カズ…。」
俺は亜紀を見上げながら、微笑んだ。
亜紀は、眉間にうっすらとしわを寄せ、大きく瞳を揺らす。