「1495日の初恋」
カーテンの端を開けて、亜紀がここを出ようとした瞬間、カタンと戸の開く音がした。
亜紀がカーテンの隙間から、ドアの方を覗く。
そして、すぐに振り返ると、声を出さずに「ゆい」と言って指をさした。
上原さん?
まさか。
亜紀が、もう一度俺に「結が来たよ」と声を出さずに言った。
上原さん、俺のところに来てくれたんだ…。
そっか…。
これで、もう大丈夫。
俺の気持ちは、整理がついた。
亜紀は俺の近くに静かに歩み寄り、「キスするんだよ、頑張って!」と口を動かし、小さくガッツポーズをした。
俺は頷き、身体を起こして、ベッドの背に寄りかかる。
亜紀は、俺の起き上がったあとの布団を直してくれていた。
俺は、目の前の亜紀に手を伸ばし、今度は強く抱きしめた。
驚いてこちらに振り向いた亜紀の顎を掴んで、俺から強く唇を重ねる。