「1495日の初恋」
振離
「…カズ…。」
名前を呼ばれてハッとした。
上原さんから視線を外し、腕に抱いている亜紀を見た。
俺がキスをしているのは亜紀で、上原さんじゃない。
亜紀の気持ちを受け入れよう…そう思ったのに…それなのに、なんでこんなにまだ、身体中が上原さんでいっぱいなんだよ…。
上原さんの姿は、もうなかった。
俺は、亜紀の唇を解放した。
濡れた唇が、俺を責めたてるように赤く光っている。
亜紀の目が、ゆっくり開いて俺を見つめた。
「身代わりでもいいよ…。」
赤く濡れた唇からこぼれた言葉は、俺の胸を突き刺した。