「1495日の初恋」
「身代わりのキスだったけど、それでもすごく嬉しかったよ。」
亜紀にそんな言葉を言わせている自分が腹ただしくて、頭をガリガリと掻き毟った。
「ごめん…俺…。」
感情がごちゃ混ぜになって、整理すらできない。
そんな自分のことも嫌だった。
「くそっ!」
「いいの…いいんだよ、カズ。
今は好きじゃなくても、もしかしたら、いつか好きになってくれるかもしれないでしょう?
カズ、付き合おう、私たち。ね、そうしよう。」
心がバラバラになって、あちこちに吹き飛んでいった。
残っているのは傷みだけ。
もう、この苦しみから解放されたかった。
俺は、亜紀の言葉に頷いた。
受け入れよう。
亜紀と付き合おう。
そうすれば、きっと上原さんを振り離ることができる。
きっと忘れられる。
だから…。
~end~
番外編「身代わりのキス」~宇佐見くんの振離~