「1495日の初恋」
どうして私なの?
はあはあはあ…
みんなが泳いでいる浜とは、少し離れた場所にたどり着く。
ずいぶん流されてきたみたい。
岩と岩に囲まれた小さな砂浜。
矢島くんは、浜に上がるとゴロンと寝転んだ。
はあはあはあはあ…
矢島くんの息が荒い。
顔の上に手を乗せて、苦しそうに胸を上下させている。
そうだよね、あんなに遠くから、あんな早さで泳いだんだもん。
きっとすごく大変だったんだ。
大丈夫かな…
私は心配になって、矢島くんの顔を覗き込む。
「矢島くん?」
はあはあはあはあ…
「大丈夫?」
「はあはあはあ…うえ…はら…さん…ちょっと…待って、ね…はあはあはあ…すぐ…行く…から…。」
「うん…。」
矢島くんの手が、私の手をキュッと掴んだ。
「…好き、だから…はあはあはあ…。」
そう言って、にっこり笑う。
そんなに息が上がって、苦しそうなのに…。
私なんかのこと、なんで好きなの?
私は…。