「1495日の初恋」
「ごめんね…。」
「上原さんの、せいじゃないよ…俺が、遠くまで行きすぎた…から…。」
違う、私が謝りたいのは…そのことじゃない…
「矢島くん…私…
矢島くんは私の言葉を遮るように、もう片方の手で私の口を塞いだ。
「いいから、謝らないで。」
握られた手に力がこもる。
私の口を塞いでいた手がそっと離れて、矢島くんは恥ずかしそうに自分の顔を覆った。
「頼むからこれ以上、俺を緊張させないで。」
矢島くんは、ゆっくり身体を起こして、私を見つめる。
いつもは優しい黒い瞳。
けれど、なんだか今日は、いつもよりも大人っぽい表情で…
「行こう。」
繋いだ手を引いて、私に立ち上がるように促す。
「え?どこに?」
「2人きりになれるとこ。」
そう言ってにっこり笑うと、矢島くんは私をぐいぐい引っ張って歩き出した。
「や、矢島くん?」
「もう俺、我慢の限界!」
わあああ、ほんとに、どうしようどうしよう…