「1495日の初恋」
私の両肩に置かれた手に、力が込められる。
私はたまらず目をあけた。
斜めに近づいてくる矢島くんの顔。
あ、あ、やっぱりダメダメー!
「まっ、まっ、待って。」
思わず私は、声を上げる。
「なんで?」
「できない…。」
私は下を向く。
できるわけがない。
「上原さんは…俺が嫌いなの?」
「そうじゃなくて…まだ中学生だし…。」
「でも、みんなしてるよ。」
「でも、でも、ごめん、もう少し、待って…。」
煮え切らない私の態度に、矢島くんの表情がみるみる変わっていく。
「藤崎だって、海斗だってしてんのに!…っもう、分かったよ!!」
矢島くんは、乱暴に個室から出ていった。
一人残されて、床にペタンと座り込む。
…みんな、するの?…
…上原くんも、するの?
しなきゃいけないの?
ほんとに好きなら、したくなるの?
もうよくわからない。
胸が苦しくて、涙が溢れてくる。
もう付き合えないって言おう。
私の煮え切らない態度は、きっとこの先も、矢島くんを傷つけてしまうから。
キスなんて、なくなればいい…。