「1495日の初恋」
裏腹
気持ちを落ち着けてから、そっと外に出た。
建物の壁に寄りかかって、矢島くんが待っていてくれた。
私のパーカーとハーフパンツを、無言で差し出す。
「ありがとう。」
私はパーカーを羽織って、ハーフパンツを手に持った。
それを見届けた矢島くんは、大股で歩き出す。
ザクザクと砂が鳴る。
ザクザクザクザク…
ザッザッザッザ…
言葉は交わさず、ただひたすら小走りで着いていく。
しばらく歩けば、みんなのいる砂浜が見えてきた。
ずっと緊張して歩いていたから、ホッとする。
…着いた…
敷物の場所には、まだ誰も戻ってきていなかった。
矢島くんは、泳いでくると私に告げて、海に向かった。
私は敷物の上に座る。
もう、遊ぶ元気なんかない。
あー、あっついなー…
真夏の太陽が、容赦無く私を照らしていた。