「1495日の初恋」
下を向いていると、前を見ろと怒られた。
何度も転ぶ私を、何度も何度も起き上がらせて、根気強く練習してくれた。
真剣な上原くんを前にして、いちいちドキドキしてる場合じゃなくなった。
次第に練習の成果が現れはじめた。
声を掛けあわなくても、私の肩にある上原くんの手の動きで、タイミングが分かるようになった。
走り出すときは、上原くんがキュッと肩を掴む。
私はそれに合わせて足を出す。
上原くんと一緒に、風を切って走る。
前へ前へ。
ゴール目指して、ただひたすらに走る。
気持ちが一つになる。
上原くんをそばで感じる瞬間。
走りたい。
ただひたすらに。
上原くんと一緒に。
そうして気付けば、自分でもびっくりするくらい早く走れるようになっていた。