「1495日の初恋」
結んで繋がって走り出す
「結、足出して。」
「あ、うん。」
上原くんは、ハチマキを外した。
そして、自分の足と私の足を固く結んだ。
「痛くない?」
「うん、大丈夫…だけど…。」
「どうした?」
上原くんは立ち上がる。
繋がれた私たち。
触れたところが、あたたかい。
「ちょっと、怖くて…。」
すこしだけ、弱音を吐いた。
不安で不安で、どうしようもない。
「じゃあ、おまじない。」
上原くんが私の手をとって、手のひらに何か書いた。
「なに?」
「ナイショ。言ったら効力がなくなる。」
そう言って笑う上原くんを見て、肩の力が抜けたように思った。
「さ、行くぞ。」
「うん。」
矢島くんも綾香も美紀も、自分の位置に並んでいる。
私たちもアンカーの襷をかけて、列の後ろに座った。
一走の藤崎くんたちが、スタートラインに着いた。
位置について、よーい…
バーン!
第一走者が走り出す。
祈るような気持ちでいた。
みんな、頑張れ!