「1495日の初恋」

速く、もっと速く。

上原くんと一つになって、ゴール目指して走り抜ける。


見えてきた!
白いゴールテープ!


みんなの声が聞こえる!

上原くんの手に力がこもった。

行くぞ!

はいっ!

心で応えて無心で目指すゴール。





パンパーン!

鉄砲の音が二度なった。



私たちはゴールテープを切って、倒れこんだ。

上原くんが私の上に覆いかぶさるように倒れ、私の胸には上原くんの手!



「ご、ごめん!」

腕立て伏せをするように、私から離れ、すぐに足の紐をほどく。

嬉しいやら恥ずかしいやら、もう何が何だかわかんない。


クラスのみんなが駆け寄ってきて、見る間に大騒ぎになった。

私も立ち上がって、みんなと抱き合って喜んだ。



上原くんはみんなにもみくちゃにされながら、私に向かってピースした。

私は大きく頷いた。


楽しかった。
本当に。

全力で、ただ無心でゴールを目指すこと。

最高の思い出になった。




こうして、うちのクラスは見事優勝。
ほんとにいい一日だった。

運動会がこんなに楽しかったのは。生まれて始めて。


みんな上原くんのおかげだ。

私は、上原くんと私を結んだハチマキをカバンにしまった。



大切な思い出。

ずっと忘れたくない。



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