「1495日の初恋」
「こんなとこで何してんだ?」
泣き顔を見せたくなくて、目をそらして俯いた。
「お前、泣いてたのか?」
言い当てられて驚いた。
思わず私は、目をこする。
「な、泣いてないよ。」
「結…
上原くんが何か言おうとしたその時、遠くから綾香の声が聞こえた。
「うーえーはーらーくーん!どこー?」
声のする方に目をやって、上原くんは眉根を寄せた。
「やべっ!結、気を付けて帰れよ、じゃあな!」
そう言って、走っていってしまった。
上原くんの姿は、あっという間に見えなくなった。
びっくりした…
未だ胸のドキドキが収まらぬ中、今度は綾香が走ってくる。
「あれー?結?どうしたの?」
「う、うん、ちょっと疲れて…。」
「大丈夫?今日は頑張ったもんね…あ、ねえ、上原くん見なかった?」
「えっ?上原くん?見てないけど…。」
うそ…ついちゃった…。
「そっかー、おかしいなー、こっちじゃないのかなー?あ、結、またねー!」
首をかしげながら、綾香もまた走り出す。
ああ、そっか…。
二人で、会ってたのか。
何してたのかな…。
ううん、そんなこと、考えたくないのに…。
もう、帰ろう。
私は、重い気持ちのまま、歩き出した。