「1495日の初恋」
公園の出口まで来た。
街灯の下、車止めの上に座る人影。
影は、私が近づくとそこからぴょんと飛び降りた。
「おいっ。」
えっ?
まさか…
「上原くん!」
びっくりして大きな声が出る。
「しー!ばかっ、大きな声出すなよ。」
「あ、うん…。」
ごめんと小さく手を合わせ、声を潜めて問いかける。
「なんで?どうしたの?綾香は?」
「いいから。…こっち。」
上原くんは、私の問いかけには答えず、足早に歩き出す。
「あ、待って!」
小走りでついていきながら、上原くんに問いかける。
「ねえ、どうしたの?」
答えない。
「ねえ、綾香は?」
完全に無視。
上原くんは、どんどん歩いていく。
歩くというより、ほとんど走ってる。
「上原くん、早い。」
私は、上原くんのジャンバーの裾をつかんだ。
勢いよく進んでいた足が、ピタリと止まる。
私は勢い余って、上原くんの背中に身体ごとぶつかった。
「痛っ!あ、ご、ごめん。」